近年はベンチャー企業でも知的財産戦略の重要性が高まっていて、特許を取得する動きがよく見られます。
システムやバイオなどの最先端テクノロジー系の会社で取得されるような技術に関する特許は勿論昔から極めて重要で、先端技術を有している会社は特許によって自社の保有する技術の価値を守っていました。
一方で、ビジネスモデル特許は、申請するかどうかは各社で対応が分かれてくる所かと思います。とはいえ、傾向としてはスタートアップやベンチャー企業でもビジネスモデル特許を取る事例は増えていますし、そのメリットは大きいと思います。
以下にそのメリットを、以下の、特許庁のもと、纏められたベンチャー企業の知的財産戦略に関する紹介資料を基に見ていきましょう。
https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180403002/20180403002-1.pdf
こちらの資料でも触れられているOne Tap BUYは最近のベンチャー企業の知的財産戦略の例としてよく取り上げられています。
One Tap BUYはスマートフォン上で1,000円という非常に小さい単位で株式投資が出来、簡単にクリックするだけで株を売買出来ます。
キャプチャでも触れられている通り、利益分のみをワンタッチ操作で売却したり、ポートフォリオを示すグラフィックをタッチ操作して取引注文操作を可能にする、といった特許を取っています。One Tap BUYはサイレントで先に特許などを可能な限り取っていき、競合に模倣して追随されないようにした状態で、「Tech Crunch Tokyo」でサービスを大々的にお披露目し、ソフトバンクなどとの提携につなげていっています。
どうしてもスタートアップやベンチャー企業が新しいモデルのビジネスを立ち上げていった場合、 上手くいっているのを見た、他の大企業やベンチャーが後で続々参入してくるというのはよくある構図なので、そういった状況に陥らないようにする意味でもビジネスモデル特許も数十万円程度で取れるので、最近はとりあえずとっていくという戦略がとられることが多いです。
もう一つあるメリットはやはりIRやPR上の効果は大きいです。事業の実績が必ずしも大きく出ていない時期にベンチャー企業が大きな出資を集めたり、事業提携していくには特許を取っているというのは一つ強みにはなります。
少なくとも特許が取得出来ているというのは一定の独自性が特許庁から認められているということになるからです。競合の参入障壁を高めることも当然出来ますし、出資を検討するにあたってプラスの要素となるのは間違いないです。
如何でしたでしょうか。ビジネスモデル特許については、もともと詳しい人がいない会社の場合は、どうしてもベンチャー企業経営者は忙しくてそもそも取得できるものなのかの判断が非常に難しいのが実情です。
もし会社として強みとしているビジネスモデルなどがあり、一定の成果を出していたり出し始めている場合は、まずは弁理士などに相談してみて、ビジネスモデル特許の取得が可能なのかどうか検討してみるのが良いのではないかと思います。