滞納処分における「捜索」の要件・方法・立会人を徹底解説

国税徴収法に基づく滞納処分において、質問検査権と並んで強力な権限が捜索です。質問検査が任意調査としての側面を基本とするのに対し、捜索は一定の実力行使(有形力の行使)を伴う強制調査としての性質を持ちます。そのため、個人のプライバシーや財産権への侵害を最小限に抑えるべく、法律によって厳格な要件や手続きが定められています。
本記事では、国税徴収法の条文(第142条〜第144条)を引用しながら、捜索の対象範囲、実力行使(開錠など)の限界、そして手続きの適正を担保する立会人制度について解説します。

捜索の法的根拠と対象範囲(国税徴収法第142条)

(捜索の権限及び方法)

第百四十二条 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。

2 徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。

一 滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。

二 滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。

3 徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。

国税徴収法、e-Gov、https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147

徴収職員は、滞納処分のため「必要があるとき」には、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索をすることができます(法142条1項)。
しかし、滞納者以外の第三者に対して捜索を行う場合は、無制限に認められるわけではなく、法第142条2項及び3項により財産の存在が確実視され、かつ引渡しを拒否された場合など、必要性が高い場合にのみ限定されています。

捜索における「立会人」のルール(国税徴収法第144条)

(捜索の立会人)第百四十四条 徴収職員は、捜索をするときは、その捜索を受ける滞納者若しくは第三者又はその同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものを立ち会わせなければならない。この場合において、これらの者が不在であるとき、又は立会いに応じないときは、成年に達した者二人以上又は地方公共団体の職員若しくは警察官を立ち会わせなければならない。

国税徴収法、e-Gov、https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147
捜索は相手方の意思に反して強制的に行われるため、執行の公正さを担保し、事後の紛争を防ぐ目的で立会人の制度が設けられています。

立会人制度の趣旨
捜索は、滞納者等の意思にかかわらず、徴収職員が強制的に行うものであるから、適正な執行が望まれています。そこで、捜索の適正な執行を保証させるために特定の者を立ち会わせることを要するとしています。

立会人の順位(法144条)
徴収職員は、捜索をするときは、以下の者を立ち会わせなければなりません。第一順位の者がいない場合に初めて第二順位の者が選ばれます。

第一順位の立会人
その捜索を受ける滞納者若しくは第三者、又はその同居の親族若しくは使用人その他の従業者で、**「相当のわきまえのあるもの」**(事理を弁識する能力がある者)。
第二順位の立会人
上記の者が不在であるとき、又は立会いに応じないときは、成年に達した者二人以上又は地方公共団体の職員若しくは警察官。

出入禁止と捜索調書のルール(国税徴収法第145条・146条)

(出入禁止)
第百四十五条 徴収職員は、捜索、差押又は差押財産の搬出をする場合において、これらの処分の執行のため支障があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その場所に出入することを禁止することができる。
一 滞納者
二 差押に係る財産を保管する第三者及び第百四十二条第二項(第三者に対する捜索)の規定により捜索を受けた第三者
三 前二号に掲げる者の同居の親族
四 滞納者の国税に関する申告、申請その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者

国税徴収法、e-Gov、https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147

(捜索調書の作成)
第百四十六条 徴収職員は、捜索したときは、捜索調書を作成しなければならない。
2 徴収職員は、捜索調書を作成した場合には、その謄本を捜索を受けた滞納者又は第三者及びこれらの者以外の立会人があるときはその立会人に交付しなければならない。
3 前二項の規定は、第五十四条(差押調書)の規定により差押調書を作成する場合には、適用しない。この場合においては、差押調書の謄本を前項の第三者及び立会人に交付しなければならない。

国税徴収法、e-Gov、https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147

このように捜索に関する出入禁止や捜索後の捜索調書についても定められておりますのでこちらも時間がある時に確認しておきましょう。