東証1部上場企業で、自社ブランド「CRASIA」のマンションの開発などを行っているプロパティエージェント株式会社で、ポイント(コイン)を使って不動産小口投資が出来るサービス「Rimple」が2月5日の本日、リリースされました。
不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディング
Rimpleのサービスは不動産特定共同事業法に基づく投資型のクラウドファンディングサービスとなります。貸付型や融資型と呼ばれるソーシャルレンディングと異なり、現物の建物や土地といった不動産を小口で複数の投資家が出資し、不動産の運用収益の分配を受けるスキームとなります。
不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングの大きなメリットは投資先となる不動産物件の詳細が開示されるので、ソーシャルレンディングと異なって、匿名化による貸付先の情報がわからないといったことがなく、投資家にとってリスク判断がしやすいことが挙げられます。
出資された資金を元手に不動産を取得し、運用するため、各投資家はその持ち分に応じた不動産を取得しているとも言えるため、万一予定どおりの運用が出来なくとも、現物不動産相当の担保があるともいえ、出資元本が大きく毀損するといった事例が他事業者でも出ていないのも不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングの魅力です。
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「Rimple」の投資スキーム
「Rimple」の投資スキームは、劣後出資者としてプロパティエージェント社が匿名組合出資額全体の3割分を出資し、残りを優先出資者である小口投資家が出資する形となります。
このスキームは不動産特定共同事業に基づくクラウドファンディングではよく見られますが、最大のメリットは、万一、不動産の運用がうまくいかず、かつ匿名組合として取得した不動産(土地・建物)の元本価値も毀損して、投資家の出資持分が毀損した時に、まずは劣後出資者であるプロパティエージェント社がその損失を負担するということです。
賃料などの運営収入が一切入らず、かつ不動産価値が3割以上毀損するということは短期・中期での不動産の運用ではよほどのことが無い限り怒らないので、投資家サイドから見ると非常に元本の保全性の高い魅力的なスキームといえます。
「リアルエステートコイン」 を使って投資出来る
「Rimple」の最大の特徴といえるのが、外部ポイントとも連携している「リアルエステートコイン」を使った投資が出来る点です。
投資型のクラウンファンディングでコイン・外部ポイントを使って投資出来るのは画期的ですね。
どうしてもこれまで、貯まっているけど日常使い出来ないポイントは「ポイぷる」などのサービスを利用して換金したりといったことが必要でしたが、そのまま1ポイント=1円として投資に回せるなら回してしまえると便利です。運用利回りはその後自然と現金でもらえますし。
ポイントを換金出来る「ポイぷる」また、近日公開予定とされている株主優待ポイントも連携出来ると、株主のメリットも高まるのでプロパティエージェント社の株を持ち、かつ半年若しくは年1回もらえる優待ポイントで更に不動産投資を行うといった複利運用も可能になってきます。
外部ポイントで不動産小口投資が出来る仕組み
「リアルエステートコイン」を通じて不動産小口投資が出来ることはわかりましたが、次に「リアルエステートコイン」の利用規約を確認して、その仕組みについて解説していきたいと思います。
利用規約のまず第1条では以下のように記載されています。
お客様は、当社が別途定める提携会社(以下「提携会社」といいます。)が発⾏するポイント(以下「他社ポイント」といいます。)を保有している場合、当該他社ポイントをリアルエステートコインに交換することができます。当社は、如何なる場合でも前払式⽀払⼿段その他の資⾦決済に関する法律の規制対象となるものとリアルエステートコインを交換しません。
リアルエステートコイン利用規約の第1条より(https://funding.propertyagent.co.jp/coinagreement )
「リアルエステートコイン」はあくまでも資金決済法の定める「通貨」ではないという確認ですね。
その上で、どうやって「Rimple」での投資に回すのかという話が第13条となります。
お客様が前項に定める振込みを行った時点、又はお客様が保有するリアルエステートコインに相当する金額が出資金を超える場合にはRimpleへの投資につき出資申込みが確定した時点で、当社は、お客様が保有するリアルエステートコインにつき、1円単位で現金化するものとします。お客様は、当該現⾦化された金銭を当社がお客様を代理して当社の分別管理ファンド⼝座に直接振り込むことに同意するものとし、当該振り込まれた金銭は、出資金額の残金に充当されるものとします。
リアルエステートコイン利用規約の第13条より(https://funding.propertyagent.co.jp/coinagreement )
投資家の出資が確定した段階で、「リアルエステートコイン」をプロパティエージェント社が一旦買い取るような形で現金化して、代わりに各ファンドの分別口座に振り込んでくれます。なので形式的には投資家は「リアルエステートコイン」の保有コイン相当額の現金も出資出来るという訳です。
プロパティエージェント社が買い上げる形になるので、利用使途は「Rimple」での小口投資案件に用途は限られますが、それでも余ったポイントを投資に回せる動きが投資型クラウンファンディングでも加速していくきっかけになるのかなと思います。
既にロボアドバイザーなどの投資一任型の運用サービス(所謂「ロボアドバイザー」)では「ウェルスナビ」や「THEO(テオ)」といった主要各社で外部ポイントを活用して投資出来るのは、ポイント経済圏を活用した囲い込み戦略として当たり前になってきています。そのほかにも「ネオモバ」のように「Tポイント」との連携を全面に押し出した株取引サービス(証券会社)も出てきました。
「WealthNavi」のサービスはこちら 「THEO」のサービスはこちらから 「ネオモバ」のサービスはこちらまだリリースされたばかりで案件の募集はなく、ポイントの連携対象として公表されているものも殆ど無いですが、今後、ポイントとクラウドファンディングの連携が加速していくきっかけになりそうな「Rimple」には大きな期待をしています。