不動産特定共同事業法の定める業務管理者とその要件の資格

不動産クラウドファンディングを行うには、不動産特定共同事業法の許可若しくは登録を得る必要がありますが、その上で必須要件となるのが業務管理者の設置です。

不動産特定共同事業法の許可を受けるには宅地建物取引業者である必要があるので宅地建物取引士は既に会社にいるのですが、更に加えて以下の要件に該当する社員を不動産特定共同事業法に関わる業務を管理する者として届け出る必要があります。

業務管理者は、下記の2つの要件を満たしているいる必要があります。

①宅地建物取引士であること

こちらは宅建業者であれば必ず既存の社員でいる筈なので問題ないです。

②以下のいずれかの要件を満たすこと

a. 不動産証券化協会認定マスター
b. ビル経営管理士 
c. 不動産コンサルティングマスター
d. 不動産特定共同事業の業務に関し、3年以上の実務経験を有する者

さて、②の条件を充足する社員が誰も会社内にいない場合が問題になります。

その場合ですが、著者は下記の順番に既存の社員の誰かに資格を満たしてもらうことをおすすめします。勿論、中途社員などで要件を満たす人が取れる場合は採用するのが一番良いです。然しながら業務管理者の要件を満たすためだけに採用すると考えると採用に係る費用もかかりますし、比較的年収帯も高めになってしまうので、社内の人材で要件を満たせる場合は社内の人材で資格を満たしてしまった方が良いかと思います。

資格として座学で取ることが出来るのはa~cです。その難易度を見ていきましょう。

a. 不動産証券化マスター

正直かなり難しいです。不動産証券化マスターの場合、教材の箱が送られ、配信動画を見て、春から秋にかけて約半年勉強し、まずは筆記の一次試験に合格する必要があります。二次試験は課題文書を作成するだけなので基本は合格しますが、それでも時間がかかります。

不動産証券化マスターを受験する層は金融や不動産、特に不動産証券化の実務に係る人たちが多く、難易度の高い試験であることを承知で受けているので全体的に競争相手のレベルも高いです。著者は宅建や一種外務員などの不動産や金融の資格も取ってますし、SPVやSPCなどのビークルの管理や、不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングのサービスの許認可の取得や事業統括をしていましたがそれでも試験は難しいというのが正直な所でした。内容も結構マニアックな領域もあり、試験範囲が非常に広いので一夜漬けでは受からず、それなりの学習時間を確保する必要がどうしてもあります。

業務管理者の要件を満たすために取る資格としてはおすすめしにくいです。

b. ビル経営管理士

ビル経営管理士は合格率が70%超で、比較的難易度が低いのがメリットです。ビル経営管理士講座を受講すると実務経験の要件も比較的短くて済みます。

c. 不動産コンサルティングマスター

不動産コンサルティングマスターは合格率は40%程度で、宅地建物取引士の資格を保有しており、実務経験が要件となります。

如何でしたでしょうか。不動産クラウドファンディングを行うにあたって不動産特定共同事業の許可を取るのに必要な資格ですが、どれか一つでも合格している人間が最低限一人いれば十分なので余裕をもって社内で合格者を作っておくのが重要です。