換価の猶予とは

国税徴収法では納税者の生計や事業の継続を維持させるために一定の要件で換価の猶予を認めています。今回はそんな換価の猶予について、その要件や効果、取り消しの要件について解説していきます。

(1)(申請による)換価の猶予の要件

①滞納者が誠実な意思を有すると認められること。

②滞納者がその国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。

③滞納者がその国税の納期限から6か月以内に猶予の申請をしたこと。

④国税通則法第46条に規定する納税の猶予の適用を受けている国税でないこと。

⑤申請に係る国税以外の国税(猶予の申請中の国税及び一定の猶予中の国税を除く。)の滞納がないこと。

(2)換価の猶予の効果

①換価の禁止:税務署長は、換価の猶予をしたときは、その猶予期間内は、差押財産の換価をすることはできないが、交付要求又は新たな差押えをすることができる。

②差押えの猶予又は解除:税務署長は、換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、差押えにより滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押えを猶予し、または解除することができる。

③延滞税の免除:換価の猶予をした延滞税のうち、原則としてその猶予期間に対応する部分の金額の2分の1相当額は、免除する。

(3)換価の猶予の取消

(1)要件:換価の猶予を受けた者が、次に該当するときは、税務署長は、その猶予を取消し、又は猶予期間を短縮することができる。→換価の猶予の通知された分割納付の各納付期限ごとの納付金額をその納付期限までに納付しないとき

(2)通知:税務署長は、換価の猶予を取消し、又は短縮したときはその旨を滞納者に通知しなければならない。