『不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン』を解説-不動産クラウドファンディングの手引書④-

不動産クラウドファンディングの手引書として、第1回では国土交通省が2019年4月に公表した「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」の「目的」から「商号」の章を、第2回では「電子情報処理組織の管理」、第3回では「適切な審査」を解説しました。

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第4回では正確な法令上の理解が必須となる「クーリングオフ」を解説していきます。

クーリング・オフ

8.クーリング・オフ(規則第54条第3号)

(1)クーリング・オフ制度の確認

 電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等は、以下の記載に従って、電子取引業務に関して、事業参加者が契約成立時書面を受領した日から起算して8日を経過するまでの間、事業参加者が不動産特定共同事業契約を解除ができることを確認するための措置を講じるものとする。

①電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等は、法令に従って、法第26条第1項に基づく解除に関する事項を契約成立前書面及び契約成立時書面に適切かつ明確に記載するものとする。

②電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等は、上記解除に関する事項について、当該不動産特定共同事業者等の運営するホームページ等を用いて表示を行うものとする。

(2)クーリング・オフ期間の起算日の特定

 電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等は、契約成立時書面を電磁的方法により提供する場合、以下に示す方法等により、クーリング・オフ期間の起算日となる規則第43条第1項第26号へ(1)又は(2)に規定する日を特定するものとする。

①契約成立時書面に記載すべき事項に係るデータが事業参加者によってダウンロードされた際に電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等に対して通知される機能を利用することによって、事業参加者が当該データのダウンロードを行った日を把握する方法

②電子メールソフトにおける「開封確認メッセージの要求」機能等を利用することによって、事業参加者が契約成立時書面に記載すべき事項に係るデータが添付された電子メールを開封した日を把握する方法

③事業参加者の使用するパソコン又は事業参加者が契約しているデータセンター等に契約成立時書面に記載すべき事項に係るデータが添付された電子メールを送信した日を把握する方法(事業参加者が契約しているデータセンター等に電子メールを送信する場合には、当該記載事項が記録される旨別途の通知を行うものとする。)

④配達証明サービスを利用して契約成立時書面に記載すべき事項に係るデータが記録された記録媒体(CD―ROM、フロッピーディスク、又はその他これらに準ずる方法により記録できる物(DVDやUSB等))を郵送し、配達後に受領する配達証明書の記録によって当該記録媒体が事業参加者に配達された日を把握する方法

不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインより(https://www.mlit.go.jp/common/001283702.pdf)

クーリングオフは実務上、またシステム上、非常に重要な項目となります。

クーリングオフは契約成立前書面及び契約成立時書面に記載する他に、クラウドファンディングのサービスページにて、クーリングオフの内容について表示を行う必要があります。

また、(2)のクーリングオフの起算日の考え方についてもシステム上非常に重要で、一般的には①の契約成立時書面のデータのダウンロードの行われた日をクーリングオフの起算日とすることが多いので、不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングのシステムでは、契約成立時書面のデータを各投資家がダウンロードした日をログとして取り、システム管理者側で確認できる状態にする必要があります。

なお、クーリングオフの有効な8日間ですが、例えば2月1日に契約成立時書面を投資家がダウンロード(契約締結)した場合、2月8日まで、クーリングオフの権利があります。

定期的な情報提供

9.定期的な情報提供(規則第54条第4号)

 電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等は、以下に示す方法等により、不動産特定共同事業者等の事業の状況についての情報が、事業参加者に対して定期的に提供されることを確保する必要がある。

 なお、不動産特定共同事業等の状況等に不正があることを知ったとき又はその疑いがあると認識したときは、速やかに、不動産特定共同事業者等に対し調査を行い、又は改善を図るとともに、必要に応じて、事業参加者に通知するものとする。

・不動産特定共同事業者等に係る不動産特定共同事業契約において、事業参加者に対して定期的に財産管理報告書が提供される旨が規定されていることを確認する。

・不動産特定共同事業者等との間の業務委託契約において、事業参加者に対して定期的に財産管理報告書を提供すべきことを義務づける。

 (注)自己募集の場合は不要とする。

・不動産特定共同事業者等が電磁的方法による財産管理報告書の提供を予定する場合には、かかる提供が可能な体制であること、及び不動産特定共同事業者等による電磁的方法による提供について事業参加者の承諾を得ていることを確認する。

・電子取引業務を行う不動産特定共同事業者等が、不動産特定共同事業者等に代わり、当該不動産特定共同事業者等が交付又は提供すべき財産管理報告書を電磁的方法により提供する場合(なお、この場合、電磁的方法による提供について事業参加者の承諾を得ている必要がある。)には、当該不動産特定共同事業者等との間の業務委託契約において、当該不動産特定共同事業者等に対して財産管理報告書に記載すべき事項に係るデータの提供を義務づけ、自らのホームページにおける各事業参加者専用の画面において当該事項を事業参加者の閲覧に供する。

不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインより(https://www.mlit.go.jp/common/001283702.pdf)

クラウドファンディングを通じて集めた資金を不動産を運用するにあたって、事業の状況等について情報が定期的に投資家に届けられるように、システムを事前に準備しておく必要があります。案件(ファンド)毎に投資家に通知すべき事項があった場合の情報掲載箇所を事前にサービスページに用意しておき、また最低年に一回作成される財産管理報告書を送付する準備も必要です。

また、財産管理報告書等は電磁的方法による提供(投資家のマイページなどで掲載)について事前に同意が必要なので、投資家登録して貰う際に同意を取り付けられるシステム設計としましょう。

今回は、クーリングオフや定期的な情報提供といった、システムやサービスサイトの遷移図・デザインのところにも大きく関わってくる重要論点について解説しました。正確な要件を理解した上で事前準備するようにしましょう。

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