ソーシャルレンディングやクラウドファンディングで収入があった際に、年末が近づいてくると問題になってくるのが確定申告です。
ソーシャルレンディングやクラウドファンディングでも、一定以上の収入があった場合、確定申告が必要になってきます。
その際の、所得の区分や、金額の基準を見ていきましょう。
- 利子所得(利息を受け取ったとき)
- 不動産所得(不動産収入を受け取ったとき)
- 事業所得
- 配当所得(配当金を受け取ったとき)
- 雑所得
クラウドファンディングやソーシャルレンディングでの収入に関して当てはまる可能性が多少でもあるのは上記かと思います。
なお、国税庁のページにその他の全ての所得の種類とその内容について記載されておりますので、気になる方はそちらも是非ご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/shoto319.htm- 利子所得を検討
どの所得に当てはめるのが妥当かという所ですが、利子所得については、定義が下記のようになっております。以下、 利息所得の定義(国税庁HPより) 。
利子所得とは、預貯金及び公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。
ソーシャルレンディングの場合は、投資家から集めた出資金を元手に貸付をソーシャルレンディング事業者が行い、その元本と利息をベースに投資家は分配金を受け取る形になりますので、上記の定義する所得とは大きく異なります。
- 不動産所得を検討
利子所得と同じく不動産所得を検討してみます。 不動産所得については、定義が下記のようになっております。以下、不動産所得の定義(国税庁HPより) 。
不動産所得とは、土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含みます。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。
不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングの場合、匿名組合が特定の不動産を保有する形になるため、近い所はありますが、不動産の現物や不動産の上に存する権利を直接的に投資家が有する訳では無いため、クラウドファンディングに伴う収入は不動産所得には該当しません。
- 事業所得を検討
次に事業所得ですが、定義が下記のようになっております。 以下、事業所得の定義(国税庁HPより) 。
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいいます。ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得になります。
ソーシャルレンディングやクラウドファンディングの場合、投資家は事業へ関与出来ない匿名組合出資をする形となりますので、その上で匿名組合出資に対する分配金として受け取る収入を事業活動に伴う収入と考えるのは難しいので、事業所得とするのも基本的に適当ではないと言えるでしょう。
- 配当所得を検討
配当所得ですが、定義が下記のようになっております。 以下、事業所得の定義(国税庁HPより) 。
配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける剰余金や、利益の配当、剰余金の分配、投資法人からの金銭の分配又は投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。
上記の、出資による剰余金や利益の配当は、株式や投資信託が該当し、事業投資であるソーシャルレンディングやクラウドファンディングは該当しません。
- 雑所得を検討
株式会社若しくは合同会社に組成された匿名組合に対して事業出資を行う形となるソーシャルレンディング/クラウドファンディングにおいては、直接的に該当する所得の区分がなく、雑所得となります。
具体的にかかる税額の計算ですが、分配金や配当が支払われる際には、源泉税が既に差し引かれています。上場株式等以外の配当等の場合20.42%の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収され、その20.42%が差し引かれた金額が投資家の口座に実際に振り込まれる訳です。
基本的には各社のソーシャルレンディング/クラウドファンディングサービスで、控除金額はマイページの支払履歴などで確認できる他、システム上で支払調書が確認できるサービスも多いです。支払調書が郵送されてくるサービスのものも一部ございます。
その辺りはもし支払調書の取得を急ぐ場合はサービス会社に問い合わせれば確認出来ます。
一方で雑所得としての課税額を計算すると、課税率を20.42%として計算した場合と一致しないケースが多いです。
クラウドファンディング/ソーシャルレンディングに対する収入への税率は、課税される人の所得金額によって変動するからです。
下記が国税庁の示している税率の計算表となります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
計算方法は以下のようになります。
「課税される所得金額(クラウドファンディング/ソーシャルレンディングの収入や、その他の所得含む)」×「税率」-「控除額」=課税額
上記を見ていただければわかる通り、取得額によっては20.42%に税率が満たないケースもありますので、その場合、確定申告を行うことによって還付を受けられる可能性があります。
また、給与所得者であっても、クラウドファンディング/ソーシャルレンディングによる収入が20万円超となっている場合には原則確定申告が必要となります。
意外と20万円は超える方も多いと思います。
上記のようなケースに対応するための方法としては主に2つです。
1.税理士に無料相談してみる
そもそも確定申告が必要なのかであったり、還付請求をすればどの程度返ってくるのかが分かれば今後の対応も決めやすくなります。
問い合わせや初期の相談は有料でない所を選べば税理士に無料で相談できるので一先ず問い合わせてみるというのが後々後悔しないです。後で還付を受けられることを知ったり、自分で調べて時間がかかってしまうと労力が勿体ないので。
税理士に無料で問い合わせ・相談をしてみる(税理士紹介ネットワーク)大手のサービスサイトのほうが安心感がある場合、上場会社である弁護士ドットコムが運営している税理士ドットコムなどもオススメです。
税理士ドットコムで無料問い合わせをする2.申告までカバーしている会計ソフトを使う
freeeのような会計ソフトだと確定申告までをシステムで行えるため、個人の確定申告に強い会計ソフトを使うのも手段としてあります。年末の申告だけを行うのであれば無料期間でも対応出来ますので。
申告や税金の話はどうしても億劫にはなってしまいますが適切な申告が行われないと過料の対象となったり、逆に還付金を取り戻せるのにその機会を逃すこともあります。
是非、余裕を持ってまずは無料のレベルでも良いので税理士に相談してみたり、会計ソフトを使って申告した場合の金額の計算をしてみることをオススメします。